不動産投資を始めるとき、多くの方が最初に気にするのが「利回り」です。広告には「利回り10%以上!」といった派手な数字が並び、投資初心者の心をつかみます。しかし、実際にその数字を信じて購入してしまうと、思わぬ失敗に直面するケースが少なくありません。
今回は、表面利回りだけを信じて購入した結果、実質利回りが大きく下がってしまった典型的な失敗例をご紹介し、そこから学べる教訓を解説します。

1. 失敗事例:利回り10%以上の地方物件に飛びついた結果
Aさんは「利回り10%超」の地方アパートを見つけ、すぐに購入を決断しました。駅からも近く、築年数は古いもののリフォーム済みで見栄えも良かったからです。
ところが、いざ経営を始めると入居が決まらず、家賃収入が想定通りに入ってきません。広告費を増額しても反応は鈍く、半年以上空室が埋まらない部屋も出てきました。結果として、実際のキャッシュフローは大幅に悪化し、実質利回りは5%以下にまで低下してしまったのです。
調べてみると、そのエリアは人口減少が進み、近くの大学も縮小傾向。周辺の工場も閉鎖されており、入居需要そのものが弱かったのです。
2. 「表面利回り」と「実質利回り」の違い
この失敗の原因の一つは、**表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)**の違いを理解していなかったことです。
- 表面利回り:年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
→ 諸経費や空室リスクを考慮しない“理想値”。広告に出ている数字はほとんどこれ。 - 実質利回り:{年間家賃収入 – 経費(管理費・修繕費・固定資産税・広告費など)} ÷ 物件価格 × 100
→ 現実に残る収益を反映する数字。投資判断はこちらを基準にすべき。
不動産投資初心者は、表面利回りだけを見て「高利回りだ!」と勘違いしてしまいがちですが、実際に手残りとなる実質利回りは5~7%程度まで落ち込むケースが多いのです。
👉 国土交通省も、不動産投資におけるリスクや利回りの考え方について解説しています。参考:国土交通省 不動産投資に関する基礎知識
3. 入居需要調査の重要性
数字のトリックに加えて、Aさんの失敗は入居需要の調査不足にもありました。
不動産投資で最も重要なのは、「入居者がいるかどうか」です。需要がなければ、どんなに利回りが高い物件でも机上の空論に終わります。
調査で確認すべきポイント
- 人口動態:その地域は人口が増えているか減っているか。特に若年層や単身世帯の増減が重要。
- 産業・雇用状況:ハローワーク求人件数や大手企業の動向。雇用が減れば当然入居需要も減少。
- 教育機関:大学・専門学校が近くにあるかどうか、定員割れやキャンパス移転がないか。
- 競合物件の状況:周辺の家賃相場、空室率、新築アパートの供給動向。
例えば、総務省の地域別人口動態や、地元自治体の統計データを活用することで、ある程度の需要予測は可能です。
4. 成功するための“需要ありき”の物件選定
では、どうすれば同じ失敗を避けられるのでしょうか?答えはシンプルで、「利回り」よりも「需要」を優先することです。
- 利回り8%でも需要が旺盛な都市部の物件 → 安定収入につながる。
- 利回り12%でも需要が弱い地方物件 → 空室率で収益が崩壊する可能性大。
不動産投資で成功している人ほど、「数字より人」を重視しています。すなわち、**「誰が住むのか」**を明確にイメージできる物件を選ぶのが鉄則です。
5. まとめ:数字に惑わされず、現実を直視する
今回の失敗事例から学べることは以下の通りです。
- 表面利回りはあくまで目安であり、実質利回りを基準に判断すべき
- 投資判断の前に、人口動態や雇用状況など「入居需要」を徹底的に調査する
- 成功する不動産投資は「高利回り物件」ではなく「安定した需要のある物件」を選ぶことから始まる
不動産投資は一発勝負のギャンブルではありません。冷静に数字と需要を見極め、長期的に安定した収益を目指しましょう。
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